2023年度ルネ鑑賞モニターレポート①「カテリーナが奏でるバンドゥーラの響き」

2023年4月28日(金)「カテリーナが奏でるバンドゥーラの響き」に寄せられたルネ鑑賞モニターレポートを抜粋でご紹介します。
琵琶に似た不思議な形のウクライナ民族楽器「バンドゥーラ」を今回初めて知りました。
ウクライナの歌姫による歌と、65 本も弦のあるこの楽器から奏でられる音楽に期待を膨らませながら初回モニターに参加しました。

第一部は黒のドレスをまとったカテリーナさんが、颯爽とバンドゥーラを持って登場しました。椅子に座り膝に乗せると頭上を超えるほど大きな楽器ですが、その音色は澄んでとても心地の良いものでした。カテリーナさんの透き通る美しい歌声の中に深い悲しみが感じられました。ウクライナの曲が数曲紹介されましたが、特に「幸せの鳥」が印象に残りました。本来、子守歌として作られた曲ですが、「昨年から私にとって叫びのような歌になった」と歌詞の意味を紹介されました。本来の安らかな歌に戻って欲しいです。

第二部は日本の歌を中心に紹介され、歌詞を味わいながら聴きました。こちらも自然や動植物を想う歌であり、一貫して平和がテーマになっていると感じました。「皆さんおまたせしました~」とバンドゥーラの紹介タイムもあり楽しかったです。最後にアカペラで「ふるさと」が紹介された時、観客からも歌声が聞こえました。故郷を想う気持ちが共有された瞬間でした。

心に染み入る音色とカテリーナさんの祖国を想う気持ちに触れられた素敵な演奏会でした。一点、残念だったことは、観客席からスマートフォンの着信音が何回か聞こえたことです。演奏者や観客に迷惑なだけでなく、端末の設定を怠った本人自身も肩身が狭く嫌な思いをすることを知ってもらいたいです。
(50代女性モニター)

生後30日目にチェリノブイリ原発事故に遭遇、僅か2.5km しか離れていない町に住んでいた一家が強制退去させられた体験を持ち、19歳から東京を拠点として活動、日本に2人しかいないウクライナの民族楽器バンドゥーラ奏者カテリーナの演奏会。

開幕冒頭、その透明感溢れる歌声が一瞬にして私たちの心を鷲掴みにした。ウクライナでは主に子守唄として歌われるケースが多く"~生きものを殺すな、花を折るな~"という意味合いの歌詞が入っているという最初の曲。森山良子を思わせるような澄み切った声音と哀切極まりない響きが胸を打つ。一年余り前、ロシアによるウクライナ武力侵攻のニュースが全世界を駆け巡り、爆撃を受け逃げ惑う一般市民の中に、ただ一人、大きな声で泣きじゃくりさ迷い歩く幼児のTV映像を想起したのは決して私一人だけではあるまい。

ウクライナでしか作られていない楽器バンドゥーラ、65弦・8kg、音色はどこかピアノを感じさせるものがあった。時に優しく、時に厳しく彼女の歌声を包み込んだり後押ししたり、絶妙のバランスを醸し出す。そのバランスの上に立って、祖国の惨状を憂え、一刻も早い停戦と平和の実現を希求する彼女の祈りが、大きな力となって迫ってくる。休憩を挟んで後半は「ハナミズキ」「涙そうそう」「花は咲く」等日本の曲が中心になるも、ジョン・レノンの「イマジン」に続くと説得力は倍増した。"~悲しみのない自由な空へ翼はためかせ行きたい~"、「翼をください」で結び、音楽に国境のないことを再認識させらると共に、人間とは、国歌とは、平和とは、改めて考えさせられる一夜となった。

尚、ウクライナ緊急募金として募金箱が入口に設置され、場内アナウンスでも一部触れられていたが、その用途について(国内に避難している人への支援又はウクライナにいる人々への支援等々)の説明があってもよかったのでは・・・。
(80代男性モニター)
4月28日 「カテリーナが奏でるバンドゥーラの響き」の詳細は、こちらのページをご覧ください。
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